2007 |
01,22 |
«手に手をとって»
レイエ、日常のヒトコマ風?
題後冒頭二行から勢いのまま。
もっとポケモンの出てくるほのぼのを書きたいと思いつつ、結局いつもこんな感じ。
仕事中の気分転換(逃避ともいう)にインスタント発想&仕上げでした。
題後冒頭二行から勢いのまま。
もっとポケモンの出てくるほのぼのを書きたいと思いつつ、結局いつもこんな感じ。
仕事中の気分転換(逃避ともいう)にインスタント発想&仕上げでした。
=============================================
「早く、こっち!」
差し出された手を、反射的に取って駆け出した。
手に手をとって
「……で、いったいっ……何からっ、逃げてっ、るんです…っ、か…っ?」
弾む息を抑えながら、隣で同じように呼吸を整えるひとに尋ねる。
散歩していたら、突然走ってきたレッドさんに、訳も分からず引っ張られるまま全力疾走。一緒にいたはずのチュチュとはいつの間にかはぐれてしまった。
今は、何故か茂みの中。小枝がちくちくと肌を刺す。
「ちょっと静かに……!」
「もがっ? へっほはんっ?」
ボクよりもずっとへいちゃらな声で、まだ肺が落ち着かないボクの口に蓋をする。
酸欠と、状況が分からないのと、レッドさんのへいちゃらさとか手の大きさとかが妙に逞しく感じることと、直接体温の伝わる距離と……ボクがやかんだったら、もうとっくに沸騰してぴーぴー鳴ってるんじゃないかしら。
「……ふう、撒けたみたいだな。ピカが上手くやってくれたかな」
レッドさんの手が緩んで、ようやく肺一杯に酸素を補給。
かっかと火照るほっぺたを両手で挟んだら、その手もおんなじくらい熱かった。
「悪かったな、イエロー。大丈夫か?」
「ええ……まぁ。すごくびっくりしました。いったいどうしたんですか?」
間近で見上げたレッドさんの顔は、さすがに全力疾走の後だけあって、ほんのり赤く上気していた。
そのまま宙をさまよいだした、赤い瞳。
「いや、なんというか……出待ち?」
……そういえば。駆け出したとき、どこからか黄色い声が聞こえたような。
「さっきまで、トキワジムでグリーンと模擬戦しててさ」
「レッドさん、もてますものね」
「そうそう。修行つけてくれー! ってゴールドみたいなのが沢山」
「えっ、男の人の話だったんですか」
「…………いや、女の子もいた、けど」
レッドさんは、もてるから。男の人にも、勿論、女の人にも。
「付き合ってあげれば良かったじゃないですか」
「な…っ、ちょ、ま……イエっ?」
「修行。新しいトレーナーを育てるのも、トレーナーの役割なんでしょう?」
がくり。レッドさんの首が落ちた。疲れちゃったのかな。
「…………確かにそーなんだけど。でも、キリがなさそうだったんで」
「でも、それじゃあボクまで逃げる必要なかったんじゃないですか?」
レッドさんはきょとんとボクを見て、しばらく見て、やがてああっと目を丸くした。
「そーいやそうだ! 悪い、イエロー!」
「別にいいですよ。ちょっと面白かったですし」
「いやだってそんな顔真っ赤にさせるくらい走らせちゃって……ホントごめん!」
「えとこれはその、あの…っ。ち、違いますから気にしないでくださいっ」
ちか! 近いですレッドさんっ?!
「あーもう……つい、反射的に捕まえちゃったんだよなぁ」
レッドさんが、訳分からないといった風情で、困ったように笑うから。
「おあいこです。ボクも、つい反射的に掴んじゃったんです」
そーなの? レッドさんの笑顔から、眉間の皺がゆるゆると消えて。
そーです。ボクのほっぺたも、ゆるゆると緩んで。
ピカとチュチュが戻ってくるまで、ボクたちはそのまま茂みの中で、ひそやかにくすくす笑い合った。
-fine-
PR
カレンダー
Attenzione, il cane?!
リンク
最新トラックバック
プロフィール
HN:
素瀬霧
HP:
性別:
非公開
職業:
妄想
趣味:
妄想・妄言
自己紹介:
吐き出せないまま積もりに積もった妄想がいっぱいあって困っている。
吐き出せたらいいなぁと思っている。
吐き出せたらいいなぁと思っている。