2006 |
07,15 |
«気高い暴言»
なんだかとっても黒総司。
某歌を聞いていたら零れ落ちたお話。
暗くて黒いですよ?
まあ元歌からして暗いので……。
旧風小噺修練場より移設しました。
某歌を聞いていたら零れ落ちたお話。
暗くて黒いですよ?
まあ元歌からして暗いので……。
旧風小噺修練場より移設しました。
=============================================
きみの暴言は綺麗過ぎて背中が凍る
気高い暴言
「私は沖田先生の為に死ぬんです」
初めてこの言葉を聞いてしまったのはいつだったろう。
衝撃の深さに、よく覚えてはいない。
ただ私が聞いたと知ったときの貴女の後悔に顰められた顔が、それを戯れの言葉でないとありありと語っていて――その表情ばかりを鮮明に覚えている。
「おやめなさい、そんなこと」
訴えても貴女は聞き入れはしない。
あれ以来、折に触れ繰り返される遣り取り。
「私はそんなこと望んでいません」
貴女には誰よりも幸せになってもらいたいのだと懇願しても。
「迷惑です」
本心から苦りきって叱責しても。
貴女はもはや開き直ってきっぱりと断じる。
「これが私の誠ですから」
翻させようとする私の行為は、貴女の肝を座らせるばかりのようだった。
その言葉を口にするとき。
貴女は決まって、肌が粟立つほど綺麗で。
死を口にするのに、瞳が活き活きと輝き満ちる。
貴女の美しさに私は背筋が凍りつく。
どうしたらそんな暴言を吐かずにいてくれるのですか。
私に存分に志を貫いてほしいという、貴女のその誠が。
私の足取りを何よりも乱すのです。
――そんなこと、私は望んでいないのに。
――ならば。
貴女も乱してしまえばいい?
私のように、惑えば――貴女に心を占められれば。きっと貴女はもう、そんなに気高く笑えはしまい。
――そして私はこの乱れから救われる――。
何も知らず。
今日も貴女は私の傍に添う。
貴女の誠を貫く為に。
そんな貴女に――その頬に、私は手を伸ばした。
まずは暴言が吐けないように、その口から封じてしまいましょうか……。
<了>
PR
Post your Comment
カレンダー
Attenzione, il cane?!
リンク
最新トラックバック
プロフィール
HN:
素瀬霧
HP:
性別:
非公開
職業:
妄想
趣味:
妄想・妄言
自己紹介:
吐き出せないまま積もりに積もった妄想がいっぱいあって困っている。
吐き出せたらいいなぁと思っている。
吐き出せたらいいなぁと思っている。