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午月座

小噺修行中。概ね二次創作。カテゴリ要確認のこと。
2025
05,07

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2006
07,15
なんだかとっても黒総司。

某歌を聞いていたら零れ落ちたお話。
暗くて黒いですよ?
まあ元歌からして暗いので……。

旧風小噺修練場より移設しました。






=============================================
きみの暴言は綺麗過ぎて背中が凍る





気高い暴言





「私は沖田先生の為に死ぬんです」

初めてこの言葉を聞いてしまったのはいつだったろう。
衝撃の深さに、よく覚えてはいない。
ただ私が聞いたと知ったときの貴女の後悔に顰められた顔が、それを戯れの言葉でないとありありと語っていて――その表情ばかりを鮮明に覚えている。

「おやめなさい、そんなこと」
訴えても貴女は聞き入れはしない。
あれ以来、折に触れ繰り返される遣り取り。
「私はそんなこと望んでいません」
貴女には誰よりも幸せになってもらいたいのだと懇願しても。
「迷惑です」
本心から苦りきって叱責しても。
貴女はもはや開き直ってきっぱりと断じる。
「これが私の誠ですから」
翻させようとする私の行為は、貴女の肝を座らせるばかりのようだった。

その言葉を口にするとき。
貴女は決まって、肌が粟立つほど綺麗で。
死を口にするのに、瞳が活き活きと輝き満ちる。

貴女の美しさに私は背筋が凍りつく。

どうしたらそんな暴言を吐かずにいてくれるのですか。



私に存分に志を貫いてほしいという、貴女のその誠が。
私の足取りを何よりも乱すのです。

――そんなこと、私は望んでいないのに。







――ならば。
貴女も乱してしまえばいい?
私のように、惑えば――貴女に心を占められれば。きっと貴女はもう、そんなに気高く笑えはしまい。



――そして私はこの乱れから救われる――。





何も知らず。
今日も貴女は私の傍に添う。
貴女の誠を貫く為に。

そんな貴女に――その頬に、私は手を伸ばした。
まずは暴言が吐けないように、その口から封じてしまいましょうか……。










<了>
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吐き出せたらいいなぁと思っている。

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